日本陸軍 第二師団 歩兵第十六連隊 新発田 あやめ会 戦記 戦死者名簿 ガダルカナル 雲南 ビルマ ジャワ ノモンハン 遺骨収集 政府派遣
続・越佐健児の石碑(いしぶみ) 第二部 新発田西公園所在の石碑・塔群
二、新発田西公園所在の石碑・塔群
第二号 日露戦役忠霊塔
余 滴 戦 友
真下 飛泉 作詞
三善 和気 作曲
一、 ここはお国を何百里
離れて遠き満州の
赤い夕日に照らされて
戦友(とも)は野末の石の下
二、 想えば悲し昨日まで
真ッ先駆けて突進し
敵を散々懲らしたる
勇士は此処に眠れるか
三、 ああ戦いの最中に
隣におったこの戦友(とも)が
俄かにハタと倒れしを
われはおもわず駆け寄よって
四、軍律厳しい中なれど
これが見捨てて置かりょうか
「確りせよ」と抱き起こし
仮繃帯も弾丸(たま)のなか
五、折から起こる突貫に
ともはようよう顔をあげて
「御国にためだかまわずに
遅れて呉れな」と目に涙
六、あとは心に残れども
残しちゃならぬこの身体
「それじゃ行くよ」と別れたが
永の別れとなったのか
七、戦いすんで日が暮れて
探しに戻る心では
「どうぞ生きて居て呉れよ
物なと言え」願うたに
八、空しく冷えて魂は
故郷(くに)へ帰ったポケットに
時計ばかりがコチコチと
動いているも情けなや
九、思えば去年船出して
御国が見えずになったとき
玄界灘に手を握り
名を名乗ったが始めてに
十、それより後は一本の
煙草も二人分けて喫み
着いた手紙も見せ合うて
身の上話くり返し
十一、肩を抱いては口癖に
「どうせ命は無いものよ
死んだら骨(こつ)を頼むぞ」と
言い交わしたる二人仲
十二、思いもよらぬ我ひとり
不思議に命ながらえて
赤い夕日の満州に
友の塚穴掘ろうとは
十三、くまなく晴れた月今宵
心しみじみ筆とって
友の最後をこまごまと
親御へ送るこの手紙
十四、筆の運びは拙(つたな)いが
行灯(あんど)の陰で親たちの
読まるる心思いやり
思わず落とす一しずく
第三号 シベリア出兵戦役者残骨灰埋葬地
余 滴 「シベリア出兵」とは
大正十三年第一次世界大戦中、ロシアに三月革命が起こり、ロマノフ王朝が倒れ、国内に革命政権が生まれ、連合国側は、革命に干渉するため日本にシベリア出兵を求めた。
たまたま日本人居留民の虐殺される「尼港事件」が発生し、居留民の保護と、満州、朝鮮の波及を口実にシベリアへ出兵する。
然しパルチザンの抵抗を受け三千五百余名の犠牲を払うことになり、国際的に日・米確執の遠因となった。
第四号 合同慰霊塔(日・中事変)
余 滴 戦 友
藤田 まさと 作詞
大村 能章 作曲
昭和十三年
一、 徐州々々と人馬は進む
徐州よいか住みよいか
洒落た文句に振り返りゃ
お国なまりのおけさ節
ヒゲが微笑む麦畠
二、 友を背にして道なき道を
行けば戦野は夜の雨
済まぬ済まぬを背中に聞けば
バカを言うなとまた進む
兵の歩みの頼もしさ
三、 腕を叩いて遙かな空を
仰ぐ瞳に雲が飛ぶ
遠く祖国を離れてきて
しみじみ知った祖国愛
友よ来て見よあの雲を
四、 行けど進めど麦また麦の
波の高さよ夜の寒さ
聲を殺して黙々と
かげをおとして粛々と
兵は徐州へ前線へ